「土地の売却を考えているけど複雑そう」と感じている方は多いです。土地売却は複雑に思えますが、適切な流れと知識があればスムーズに行えます。この記事では、土地売却の流れや費用、成功のポイント、よくあるトラブル、対策について解説します。
記事を読んで、土地売却のプロセスを理解し、トラブルなく売却を成功させましょう。
土地売却の基本的な流れ
土地売却の基本的な流れは以下のとおりです。
- 土地売却の目的を明確にする
- 土地の現状を把握する
- 適切な不動産会社を選ぶ
- 土地の査定を依頼する
- 売却価格を設定する
- 売却活動を開始する
- 売買契約を締結する
- 土地を引き渡す
- 確定申告をする
土地売却の目的を明確にする
土地売却の際は、目的を明確にすることが重要です。目的を定めると、売却計画が立てやすくなります。短期的な利益を目指す場合、市場の動向を分析し、最適な売り時を見極めましょう。長期的な資産管理目的の売却では、税金の影響や未来の市場価値を考慮した戦略が必要です。
家族構成の変化や遺産相続など個人的な事情が売却理由の場合、感情的な要素を考慮しつつ、冷静な計画を立てましょう。土地売却の目的は多岐にわたるため、理由に応じた適切な戦略が、売却を成功させるポイントです。
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土地の現状を把握する
土地の現状の把握は、売却プロセスをスムーズに進めるために重要です。まずは土地の特性や可能な利用方法を明確にします。具体的には、土地の登記情報を調査して、所有者の名前や土地の面積、地目(土地の用途)の確認から始めましょう。土地の形状や周辺環境は、地図や航空写真で確認できます。
土地利用計画や地域の都市計画を調べると、建築制限といった規制内容も理解できます。土地の現状の把握は、土地の価値を正確に評価し、適切な売却価格の設定につながります。隣接する土地との境界線を明確にし、必要に応じて測量を行いましょう。
適切な不動産会社を選ぶ
土地売却を成功に導くには、適切な不動産会社の選択が重要です。地域に精通し実績のある会社を選びましょう。信頼できる業者かどうかを判断するには、評判や口コミを確認しましょう。
複数の会社に相談し、比較検討を行うことをおすすめします。
土地の査定を依頼する
土地の査定を依頼する際は、不動産会社による正確な評価が必要です。なぜなら市場での競争力が保たれるため、売却の機会が増えるからです。適切な査定が行われると、土地の売却価格が適正に設定されます。
複数の不動産会社に査定を依頼し、提案された価格を比較検討しましょう。より良い条件で土地を売却する手助けになります。
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売却価格を設定する
売却価格を設定する際は、市場価値をしっかりと調査し、類似物件の売却価格と比較しましょう。価格設定は物件が売れるかどうかを左右する条件であるため、不動産会社と密に相談して最適な価格を決定してください。
地域の経済状況や需要への考慮も必要です。価格設定に柔軟性を持たせて必要に応じて調整し、過度に高い価格設定は避けましょう。
類似物件との比較は重要ですが、長期間、売れ残っている類似物件と同条件にすると同じように売れ残る可能性があるので慎重に判断すべきです。
売却活動を開始する
売却活動を開始する際は、効果的な戦略を立てることが必要不可欠です。土地の情報を広く公開するために、広告を活用しましょう。具体的には不動産専門のウェブサイトや地元の新聞、折込チラシ、SNSを使う方法が有効です。
現地で説明を受けたい人もいるので、現地説明会と折込チラシやSNS広告を組み合わせると効果的です。建物があるならオープンハウス(現地説明会)を実施するといった具合です。
現地説明会やオープンハウスの実施は、購入者との直接的な接点を持つうえで効果的です。オファーを受けた際は慎重に検討し、購入希望者と交渉を進めましょう。販売促進のための戦略を定期的に見直し、状況に応じて適切な調整を行うと、売却が成功しやすいです。
売買契約を締結する
売買契約を締結する際の手順は、以下を参考にしてください。
- 売買契約の重要な内容をまとめる
- 契約の際に必要な書類を準備する
- 不動産会社や司法書士と契約書の内容を確認する
- 内容に同意する
契約の重要な内容は、売買価格や引渡しの時期、特約事項などです。契約内容を事前に確認し、両者の合意を得ましょう。契約の際に必要な書類として登記簿謄本や身分証明書、印鑑証明書などがあります。必要書類を事前に用意しておくと、スムーズな契約手続きが可能です。
契約書の内容は誤解やトラブルを防ぐため、不動産会社や司法書士と共に細部に至るまで確認しましょう。契約日に売主と買主が出席し、すべての内容に同意したうえで署名と捺印を行います。署名と捺印は、契約が法的に有効なことを示す重要な手続きです。契約が成立した後は、手付金の支払いと受領を確認します。
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土地を引き渡す
土地の引き渡しは、売買契約にもとづいて指定された日に行いましょう。土地の引き渡しは、土地の権利証や鍵を買主に渡す重要なプロセスです。引き渡し前には、土地の地目や設備などの最終確認を行います。引き渡し時には両当事者が立ち会い、必要書類の確認と署名を行いましょう。
関係者の都合がつかない場合には、代理人を立てて両者が立ち会わないケースもあります。
書類の確認と署名により、土地の所有権が正しく移転されます。引き渡し後は、登記の名義変更を確認してください。
» 不動産の名義変更の流れ
確定申告をする
土地を売却した場合、得た利益に対して確定申告が必要です。土地売却によって生じた利益が「譲渡所得」として扱われるためです。確定申告で、所得税と住民税が正しく計算されます。確定申告を行う際は、売買契約書や土地の取得費用に関する書類など、必要な書類を準備しましょう。
確定申告を行う期間は、土地を売却した年の翌年の2月16日〜3月15日です。特別控除や軽減税率が適用される場合もあるので、適切な申告を行いましょう。
» 不動産の売却に確定申告が必要かどうか詳しく解説
土地の売却時にかかる費用
土地の売却時にかかる費用は以下のとおりです。
- 仲介手数料(不動産会社へ支払う手数料)
- 司法書士報酬(登記の移転や抹消を行うための費用)
- 測量費用(土地の境界を明確にするための費用)
- 固定資産税・都市計画税の清算費用
- 印紙税
- 瑕疵担保責任保険(任意)
- 物件広告費(任意)
- 譲渡所得税
固定資産税と都市計画税は、年度途中に売却した場合、売却日までの分を精算します。 基本的に広告費は不動産会社が負担します。但し広告費や遠隔地への出張費など「特別依頼に掛かる費用」は売主が実費を支払う旨が国土交通省の標準約款に記載されています。
( 特 別 依 頼 に 係 る 費 用 )
第 10条 甲 が 乙 に 特 別 に 依 頼 し た 広 告 の 料 金 又 は 遠 隔 地 へ の 出 張 旅 費 は 甲 の 負 担となります。甲 は 、 乙 の 請 求 に 基 づ い て 、 そ の 実 費 を 支 払 わ な け れ ば な り ま せ ん 。
土地売却費用の相場
仲介手数料は、売却価格の1〜3%程度が相場です。土地の境界を明確にするために必要な測量の費用は、数万〜数十万円程度です。契約書には印紙税が必要で、相場は数千〜1万円程度になります。土地の登記変更にも費用が発生し、数万〜十万円以上になる場合があります。
» 仲介手数料に消費税はかかる?不動産取引の基礎知識
土地売却に伴う税金の支払いが必要な場合、前払いを要求される場合もあるため、注意しましょう。
土地売却時にかかる税金
土地を売却する際は、売却益に対して所得税と住民税が課税されます。所得税と住民税は、売却価格から仲介手数料や登記費用などの費用を差し引いた金額にもとづいて計算されます。
» 不動産を売却する際の税金の計算方法を詳しく解説!
税率は保有期間によって異なり、5年を超える長期保有の場合は20%(所得税15%+住民税5%)です。5年以下の短期保有では、30%(所得税23%+住民税7%)が適用されます。長期保有により税負担が軽減されるため、売却のタイミングを選ぶと節税が可能です。
特定の条件を満たす場合、3,000万円の特別控除が利用可能です。特別控除を利用すると、税負担を大幅に下げられるため、条件に合致するか確認しましょう。税金の計算や控除の適用は複雑なため、専門家への相談がおすすめです。適切なアドバイスを受けると、土地売却時の税負担を抑えられます。
費用を抑える方法
土地売却時の費用を抑える方法は、以下のとおりです。
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 土地の情報を事前に整理しておく
- 売却活動のピークシーズンに市場に出す
- 不要なオプションサービスや広告は選ばない
- 法律に詳しい専門家を利用する
費用を抑える工夫を行なって、全体的な売却効果を高められると、最終的な収益の向上が見込めます。
土地売却を成功させるポイント
土地売却を成功させるポイントは、以下のとおりです。
- 土地の価値を高める努力をする
- 信頼できる不動産屋を見つける
- 適切な売買交渉をする
計画的に土地売却を進めて成功に近づきましょう。
土地の価値を高める努力をする
土地の価値を最大限に引き出すためには、土地の状態を整えることが必要です。土地がきれいに整備されていると、より良い印象を与え、高い価格で売却できます。土地の清掃や整地などを行い見た目を改善すると、土地がより魅力的に見え、買い手の関心を惹きつけられます。
土地の利用価値を高めるために、不要な建物や廃材を撤去することも有効です。新しい用途に適した状態にできます。土地の基盤整備を行い、利用のしやすさを向上させることも重要です。基盤がしっかりしている土地は、建築や他の利用に際しても問題が少なく、高い評価を得られます。
信頼できる不動産屋を見つける
信頼できる不動産会社選びも、土地売却の成功には欠かせません。実績のある不動産会社を選ぶと、適切な価格設定や効果的な販売戦略を提案してくれます。売却プロセス全体のサポートを受けられるため、安心して取引を進められます。経験や知識、地元市場への精通度などを重視して不動産会社を選びましょう。
過去のクライアントからのレビューや推薦、保有する資格や認定、対応の速さやコミュニケーションの質なども評価のポイントです。
適切な売買交渉をする
適切な売買交渉は、土地売却の成功のポイントです。交渉中は臨機応変な対応が求められるため、柔軟性を持って最終的な目標を見失わないように交渉しましょう。支払い条件や引渡しの日程を明確にすると、トラブルを防げます。適切な条件で合意に至るために、交渉の進め方や条件について、あらかじめ十分な検討が必要です。
「価格の値引き」と「引渡し時期の延長」に関する交渉は多々はいります。どこまで対応するか決まっていれば、予め不動産会社と共有しておくことをおすすめします。
市場の動向を理解し、適切な価格を提示しましょう。不動産市場の流れを把握すると、適正価格での売却が可能です。専門家の意見を参考にするのもおすすめです。不動産エージェントや弁護士など、土地売買のプロからのアドバイスは、交渉の進め方において大きな助けとなります。
土地売却でよくあるトラブルと対策
土地売却でよくあるトラブルと対策をまとめました。土地売却を検討している方は参考にしてください。
- 土地の境界線が曖昧になっている
- 土地が共有名義になっている
- 買い手が見つからない
- 土地のローンが残っている
土地の境界線が曖昧になっている
土地の境界線が曖昧だと、隣接する土地所有者間でのトラブルが発生します。曖昧な境界線は土地の使用に関する誤解を招きやすいです。隣の土地の一部を使用している場合は、トラブルに発展する可能性があります。境界線を明確にするために隣接する土地所有者と協議を行いましょう。
土地家屋調査士などの専門家の助けを借りるのも有効です。専門家は地籍図や登記簿などの公的書類を使って、正確な境界線の確定を支援します。正確な境界線の確定は、土地の価値を守るだけでなく、将来の売却価格にも大きく影響します。
土地が共有名義になっている
土地が共有名義になっている場合、土地は複数の方が共有している状態です。共有名義の土地は、各共有者が持分を持ち、土地の一部に対する所有権があります。土地の持分は登記簿に記載されており、それぞれの持分に応じて権利が認められます。土地を売却しようとする際は、すべての共有者の同意が必要です。
一部の共有者が売却に同意しない場合、裁判所に申し立てて売却許可を求めましょう。最終的な売却益は、共有者間で持分に応じて分配されるのが一般的です。
買い手が見つからない
土地の買い手が見つからない原因は、以下のとおりです。
- 販売価格が市場価格を上回っている
- 土地の立地やアクセスが悪い
- 土地の形状や利用制限がある
- 適切な不動産会社を選べていない
- 有効な広告戦略が行われていない
買い手が見つからない場合は、市場の動向を調査し、価格の見直しや販売戦略を改善しましょう。不動産会社と協力して、積極的なマーケティングを行うのも有効です。
土地のローンが残っている
土地のローンが残っている場合、ローンを完済しましょう。ローンの完済は、土地売却で得られる収入で行うのが一般的です。土地売却の収入でローンを完済できる場合、残債の解消が売却成立の条件となることが多いです。売却価格がローン残高を下回る場合は、差額を自己資金で補ってください。
ローンを完済するためには、金融機関との事前の相談や承諾が不可欠です。ローンが残っている状態での売却手続きは複雑なため、不動産業者や弁護士などの専門家の助けを借りましょう。
まとめ
土地売却を検討する際は、売却目的を明確にし、土地の状況を把握することが重要です。信頼できる不動産会社を選び、土地の適正な査定を受けて、売却価格を設定しましょう。売却活動が始まると、売買契約の締結から土地の引き渡し、確定申告までのプロセスが必要です。
土地売却にはさまざまな費用や税金が発生するため、コストを可能な限り抑えましょう。土地の価値を高め、成功へ導くためには適切な交渉が必要です。