媒介と仲介の違いとは?不動産売買で理解すべき基本と注意点を詳しく解説

媒介と仲介の違いとは?不動産売買で理解すべき基本と注意点を詳しく解説

「媒介」と「仲介」という2つの言葉は混同されがちですが、スムーズな不動産取引には違いを理解する必要があります。

この記事では「媒介」と「仲介」の違いとそれぞれの種類を解説します。各契約形態の特性を理解すれば、不動産取引をより有利に進めることが可能です。

費用や注意点についても分かりやすくまとめたので、不動産取引の知識を効率良く学べるでしょう。

媒介と仲介の違い

媒介と仲介の違い

媒介と仲介はどちらも、第3者が他者との間に介在しながら目的達成のサポートをすることを指します。両者は役割が異なるため、違いを正しく理解することが大切です。

ここでは、媒介と仲介の違いについて解説します。

媒介とは

媒介とは、取引を行う2者間で仲立ちをする行為です。不動産取引においての媒介は、売主と買主の間に立って両者の契約を成立させることを意味します。一般的には以下の特徴があります。

  • 活動への対価として手数料や成功報酬を受け取る
  • 正式な媒介業務には法律に基づく媒介契約が必要

媒介契約を結ぶことで、スムーズな不動産取引が可能です。

媒介する側は取引の機会を設けるものの、直接の契約関係には参加しません。不動産の売買・賃貸、金融商品取引など、さまざまな分野で媒介活動が行われ、重要な役割を果たしています。
» 媒介契約とは?各契約のメリットとデメリット

仲介とは

仲介とは

仲介とは、売買や交渉の当事者間に立ち、取引がスムーズに進むよう手助けすることです。仲介者は売り手と買い手、または交渉当事者の間に入り、合意に至るための交渉・調整を行います。

不動産売買における仲介者とは、主に不動産会社です。売主と買主の間介在して、条件調整や契約成立のサポートを行います。

仲介者はほとんどの場合、調整やサポートの報酬として仲介手数料を受け取ります。仲介者の役割は、中立的立場を保ちながら双方の要望が叶うよう解決策を探ることです。
» 不動産仲介の基礎知識|業務内容と選び方

媒介と仲介の違いとは

媒介と仲介はいずれも、交渉を成立させるために関わる行為です。以下に、両者の違いをまとめました。

  • 媒介は情報提供に重きをおき、交渉の場のサポートを担う
  • 仲介は取引成立まで深く関与し、双方の間を取り持つ

媒介では取引成立時の手数料は発生しません。一方、仲介では取引成功時に仲介手数料を受け取るのが普通です。媒介と仲介の違いを理解すると、契約時にどのサービスを選ぶかを判断するのに役立ちます。

媒介契約の種類

媒介契約の種類

不動産取引において、媒介契約の詳細を理解することは非常に大切です。媒介契約には以下の3つの形態があり、それぞれ特徴が異なります。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

契約形態によって売買・賃貸時のサービスレベルや自由度が変わるため、状況や目的に合った契約を選びましょう。

一般媒介契約

一般媒介契約は、複数の不動産会社へ同時に依頼できる契約形態です。以下の特徴があります。

  • 自身で買主・借主を見つけることも可能
  • 契約期間の縛りがなく、必要に応じていつでも解除可能
  • 手数料は業者が買主・借主を見つけた場合のみ発生

一方で、以下のデメリットもあります。

  • 不動産会社が積極的な販売活動をしない可能性がある
  • レインズへの登録が任意のため、物件情報の露出度が低い

レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する不動産情報ネットワークのことです。不動産会社などの業者のみ登録・閲覧できます。

一般媒介契約は業者選びや売買取引の制限が少なく、自由度の高い契約形態です。

専任媒介契約

専任媒介契約

専任媒介契約とは、一社の不動産業者に販売・購入活動を委任する契約形態です。以下の特徴があります。

複数業者と契約できない
買主との直接契約できる
レインズへの登録義務(登録後7日以内)
報告頻度2週間に1度
契約期間定めあり(3か月以内)

専任媒介契約を結ぶと、広告投資やマーケティングなど不動産会社による販売努力が期待できます。進捗状況の透明性も高い反面、販売ルートの制限が懸念点です。

専任媒介契約は、物件販売を確実に進めたい方に適した契約形態といえます。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約とは、一社の不動産会社に集中して販売活動を委託する契約形態です。以下の特徴があります。

複数業者と契約できない
買主との直接契約できない
レインズへの登録義務(登録後1日以内)
報告頻度1週間に1度
契約期間定めあり(3か月以内)

専属専任媒介契約を結ぶと、買主を自力で見つけても不動産会社を介して契約を進めなければいけません

専任媒介契約よりも強い拘束力を持つため、不動産会社はより積極的な販売活動を行う必要があります。価格交渉や販売条件設定などの重要なプロセスもあり、スムーズな不動産取引が期待できる点がメリットです。

契約期間の定めはありますが、契約解除の条件はあらかじめ設定できます。専属専任媒介契約は売主や買主にとって、心強い契約形態です。
» 専属専任媒介契約とは?特徴やメリットを解説

仲介の取引方法の種類

仲介の取引方法の種類

仲介とは、2者間で取引をスムーズに進めるための代行サービスです。不動産取引には「両手取引」と「片手取引」の2種類があります。

両手取引

両手取引とは、売主と買主が同じ業者に仲介を依頼する取引方法です。仲介業者は、両方の依頼人から手数料を得られます。仲介業者のサポートが必ずしも両者にとって有益とは限らず、公平かつ透明性の高い取引が重要です。

両手取引は一部地域で法的に制限されています。仲介業者には倫理的行動が求められ、売主と買主の双方へ適切な情報提供とサポートを行わなければなりません。

片手取引

片手取引とは、売主と買主がそれぞれ別の仲介業者を通じて不動産取引を行う方法です。専門業者を自由に選択できるメリットがあります。

手数料は、売主と買主は各々が依頼した仲介業者へ支払います。両手取引のように公平性を考慮する必要がないため、依頼側にとって利益を追求しやすい取引方法です。

仲介にかかる費用

仲介にかかる費用

不動産の仲介では、仲介手数料がかかります。仲介手数料は成約時に支払われる、成功報酬型の費用です。物件価格や家賃に基づいて計算されます。

ここでは、仲介手数料の算出基準や支払うタイミングについて解説します。

仲介手数料の算出基準

不動産取引における仲介手数料の算出基準は、以下のとおりです。

売買取引不動産価格×3%+6万円(税別)が上限
賃貸取引1か月分の賃料(税別)※

※地域や物件により異なる

仲介手数料は、法律により上限金額が明確に定められています。売買では不動産価格、賃貸では賃料が基準です。

5,000万円で売却した場合の仲介手数料

5000万円×0.03+6万円=156万円(上限)

仲介手数料は取引をスムーズに進めるための重要な費用といえます。計算方法と支払い条件を理解し、具体的な金額は事前に確認しましょう。

仲介手数料を支払うタイミング

仲介手数料は不動産取引が成立した時点で発生します。物件の引渡しと代金決済が完了した後に支払うことが一般的です。

購入時は、売買契約締結時に手付金と一緒に支払うこともあります。賃貸契約の場合は、成立時に初回の賃料と合わせて支払うのが一般的です。

支払い方法には以下の例があります。

  • 不動産業者へ直接支払う
  • 司法書士を通じて取引金額に含める

支払うタイミングや方法については、不動産業者と事前に相談しましょう。仲介手数料は多額な費用なので、トラブル防止のためきちんと理解する必要があります。

媒介契約を結ぶ際の注意点

媒介契約を結ぶ際の注意点

媒介契約を結ぶときは、業者選びと契約内容の確認が重要です。ここでは、事前に理解すべき注意点をまとめました。

仲介業者を選ぶポイント

仲介業者を選ぶときは、サービスの質や信頼性がとても重要です。適切な業者選びによって、スムーズで満足のいく不動産取引ができます。選び方のポイントはさまざまですが、とくに大切なのは以下のポイントです。

  • 業者の実績と評判
  • 手数料の透明性と妥当性
  • サービスの質と範囲(物件の情報量、アフターサポートなど)
  • 業者の専門性(取り扱い物件種別や地域への特化など)
  • コミュニケーション能力と返信の速度
  • マーケット知識とネットワークの広さ
  • 契約条件の柔軟性(キャンセルポリシーなど)
  • オンラインでの取引サポートの有無

無料相談や見積もりを活用して、自分に合った仲介業者を見つけましょう。

契約前に確認すべき事項

契約を締結する前に確認すべき主な点は、以下の通りです。トラブル防止のために十分に理解しましょう。

  • 契約の種類と内容
  • 契約期間と解約条件
  • 業者の信頼性(免許番号と実績)
  • 仲介手数料と追加費用の有無
  • 契約違反時のペナルティや違約金の条項
  • 業者が提供するサービスの範囲

以下の点は、不動産取引の成否にも関係します。

  • 宣伝活動や物件公開の方法
  • 掲載広告の内容と広告料金の負担
  • 報告義務や情報提供の頻度と方法
  • 他社との連携やサブエージェントの利用に関する規定

独自の要望や特記事項があれば、契約に盛り込みましょう。納得のいく契約を結ぶことが、安心してスムーズな不動産取引を進めるうえで重要です。事前の確認と慎重な判断が求められます。

媒介契約のメリット

媒介契約のメリット

ここでは、媒介契約を結ぶメリットを紹介します。

不動産会社選びに失敗しにくい

媒介契約のために不動産会社は、契約内容や手数料、サービス内容を明確に提示します。契約前に会社の信頼性やサービスの質を比較できるため、業者選びに失敗しにくいです。

不動産会社選びでは、以下の点を確認してください。

  • 不動産会社の評判や口コミ
  • 専門性や扱っている物件の種類
  • 地元の情報に精通しているかどうか

長年の評判がよく、安定したサービスを提供している不動産会社は、信頼性の高いサポートが期待できます。地域特有の市場動向や法規制に詳しい会社であれば、そのエリアでの取引において有利な情報を提供してもらうことが可能です。

多くの媒介契約には契約解除の条件が明記されています。不動産会社のサービスが期待に沿わない場合、一定の条件の下で契約を解除し、別の会社に依頼することが可能です。サービス内容や手数料と併せて、解除の条件についても確認しましょう。

可能であれば、不動産会社との面談や相談を通じて、会社の対応や提案内容を直接確認してください。直感と併せて判断すれば、失敗を避けることが可能です。
» 不動産屋の選び方完全ガイド

不動産会社同士で対抗心が生まれる

不動産会社同士で対抗心が生まれる

不動産会社間の競争激化は、市場全体のサービス品質向上につながります。各社は競合よりも良いサービスや取引条件の向上に努めるため、より良い選択肢を得ることが可能です。

具体的には、手数料の引き下げや柔軟な料金プラン、迅速な問い合わせ対応などが行われます。結果、高品質なサービスを低コストで受けることが可能です。

不動産会社による囲い込みを防げる

囲い込みを防ぐためには、複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことが効果的です。囲い込みとは、不動産会社が自社の顧客に限定して物件情報を提供する行為をいいます。

同時期に複数社と契約できるのは、一般媒介契約です。以下に、複数の不動産会社と媒介契約を結ぶメリットをまとめました。

  • 会社間の競争によりサービスの質が向上する
  • 複数者の提案をもとに多角的な視点で物件を評価できる
  • 物件の市場への露出が広がり、潜在顧客へのアプローチが増える

複数の不動産会社と契約すると、囲い込みのリスクを避けつつ透明性の高い取引が可能です。

まとめ

まとめ

不動産の取引において媒介と仲介はどちらも重要ですが、関与の度合いには明確な違いがあります。一般的な特徴は以下のとおりです。

  • 媒介は情報提供に重きをおき、交渉の場のサポートを担う
  • 仲介は取引成立まで深く関与し、双方の間を取り持つ

媒介契約には以下の種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

仲介の取引方法は「両手取引」と「片手取引」の2種類です。

仲介手数料は取引金額に基づいて計算され、上限金額は法律により定められています。仲介業者を選ぶときは、実績や信頼性、提供されるサービスの内容を慎重に検討することが重要です。

安心して取引を行うため、契約前には手数料や契約条件、キャンセルポリシーを十分に確認しましょう。記事の内容を踏まえ、適切な業者とともにスムーズな不動産取引を進めてください。
» 不動産売却成功への近道!

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